古民家LABO

古民家専門の不動産屋で働く私の仕事日記

(実例)古民家を買って民泊を始める【物件との出会い編】

※3回にわたる連載です。

【出会い編】明治の町家に“暮らし”と“おもてなし”を

「駅から徒歩20分。田舎すぎない旧街道沿い、明治の町家。」私の勤める不動産屋のサイトに載せた古民家に、一通の問い合わせが届きました。連絡の主はFさん夫妻。ご主人はカナダ出身で、長年日本文化に惹かれ「いつか古民家で暮らしたい」と温めてきた夢があるとのこと。

通りには建て替えられた家が増えたものの、ところどころに商いの記憶を残す町家が生き残り、格子戸や蔵が雰囲気の良い通りを作っています。

表(みせ)の間、奥は居住、中央に坪庭、その奥に蔵。これが町屋の一般的な構成です。

旧街道に建つ築100年超の町家

この物件は、オーナーさんが高齢になって、娘のところへ同居するため、築140年、代々住み継いできた家を手放すことになり今回売りに出されました。

古民家物件を探されていたご夫婦は、初めての内見で、奥さまは坪庭を覗き「ここで朝にお茶を淹れたい」とおっしゃって、ご主人は蔵の梁が気に入ったようでした。

二人で住むには少し広い間取りでした。使わない部屋がもったいない。

そこで浮かんだのが「民泊にして、旅行者に町家の時間を開く」という発想でした。

内見を終えて、「写真じゃ分からない温度があるね」とご主人。

古民家は条件表だけでは測れません。周辺を歩いて感じる地域の雰囲気、木のぬくもり、建具の音。五感で決まる物件です。

“住むだけ”じゃ広すぎるなら

お子さんは独立し、暮らしは二人。住むには少し広いということで、ご主人が言いました。「使わない部屋を、旅行者のために開くのはどう?

そこで、民泊の案が生まれました。立地は“駅近”とは言えません。でも、旧街道の雰囲気と町家の造りを二人はとても気に入った様子でした。

この物件に決めました

「写真だけでは伝わらない“温度”に触れることができました。実際見てみて良かったです!」と奥様。

「私たち、ネットでずっと古民家を探してたんですよ。二人だけの老後なのでどこに住んでもいいので幅広いエリアで探していました。でもあまりど田舎はちょっと生活の不安があって・・・。」

「ここなら田舎でもないし、お店や病院も遠くないから生活もしやすそうですね」

「民泊をやれば、おこづかい稼ぎにもなるし」

こうしてFさんたちは、暮らし+民泊の二層で町家を活かす道を選びました。

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不動産屋は“どうやって”希望に合う物件を見つけるのか

ここで少し裏側を。

私たちはまず、不動産会社だけが閲覧できる業者間サイトで、物件を探します。並行して、オーナーからの直接相談で預かった物件の中から、条件が合いそうなお客様に先行して紹介します。

ポイントは、サイト掲載前の“水面下”の動きです。オーナーから直接仲介を頼まれた案件は、物件検索サイトに出る前に買い手が決まることが少なくありません。

古民家はそもそも物件数が少なく希少です。

なので、古民家ほど、ネットに出回らずに決まっていく。これが現実です。

だから、未公開や予備軍の情報に触れられる経路を複数持つことが、出会いを早めます。

※町家・古民家はネット公開が少なめ。未公開物件の提案まで受けられる一括依頼で間口を広げるのがおすすめです。

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次回は、民泊開業に向けて補助金を使って大規模リノベをした話へ
つづく…

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